目指したい「お客さまとともに価値を創り出す」という姿
【竹内】先輩たちから受け継いできて自分が信じていること。それが理念であり、DNAでもある。統合時には共通するDNAを大切にすることで融合を促し、10年経った今、「DNAの進化」を掲げておられますが、どんな組織を目指されているのでしょう?
【山名】我々にはものづくりの会社として培ってきた強みがありますが、プロダクト型の経営だけでは今の時代には通用しません。製品を精魂込めて作り上げ、その商品の力を世界に展開することで成長しようという考えには限界があります。いわゆる“QCD”がすぐれた企業が勝つという成功体験に埋没してはいけないのです。
プロダクト型の経営の良いところは活かしつつ、新しい価値を提供していかなければいけません。ビジネスモデルの変革は、本当の意味での「顧客価値」を具現化していく中で実現します。そのためには、従来の行動や判断を、時には破壊してでも、進化させないといけません。プロダクト型に適応して働いてきた人々の行動を変えていかないと次のステージに行くことはできないのです。そのためには、お客様のおかれている状況に身を置き換えて、何ができるとお客様が喜ぶかを考え、その実現に熱いパッションを持つこと、リスクがあってもチャレンジすることを褒め称えていく必要があるのです。
我々の事業はBtoBですが、最終的なベネフィットを出すべきは、あらゆる現場で我々の製品やサービスを実際に使ってくださる一人ひとりなので、BtoBtoCと考えるべきです。そのBtoBtoCを実現する上で、コニカミノルタにはとても良いカルチャーがあります。お客様のために考えるという我々のDNAを事業の革新にあわせ進化させられれば、もの凄い強みになるはずです。
いずれにせよ、現場の社員一人ひとりが能動的、機動的、スピーディに「動ける」こと。これが強い会社であり強さを持続できる会社です。フィロソフィーは、そのような状態をつくるためのものであり、それを実現するのが私の役割だと思っています。