製品群に付加価値をつけ再活性化させる
コニカとミノルタという歴史ある2社が2003年に統合して10年超。06年に祖業のカメラとフィルムから撤退した「本業消失」の危機を乗り越え、今期売り上げ1兆円突破まできた。
───15年3月期の業績予想を上方修正したが、その要因は?
【山名】当社の77%が情報機器事業だが、その中の17%を占めるプロダクションプリンティング、つまり商業向けデジタル印刷が好調に推移している。この分野はまだアナログの比重が圧倒的に高い市場だが、オンデマンドのデジタル印刷のメリットが市場に浸透し、業績牽引のエンジン役になっている。また、カラーのA3デジタル複合機の国内外での伸長と、液晶テレビ向けの機能性材料としてのTACフィルムが大きく伸びているのが寄与している。
──連結売上高の1兆円突破が視野に入ったが、どう受け止めているか。
【山名】コニカとミノルタが統合した後の06年に写真のカメラとフィルムから撤退し、当時、2千数百億円の売上高減少を招いた。1兆円近い規模のあった会社が写真フィルムからの撤退や、その後の円高にも見舞われて8000億円レベルの会社に落ち込んだわけだ。そこから回復を目指し、成長が見込まれるところに経営資源を集中し、グローバルに勝つ戦いができる環境を整備してきて、売上高1兆円というのはどうしても超えたい一つのレベルであったのは事実。今年度にそれを計上できることは意義があるが、当社にとって、これはあくまでも通過点だ。
───14年4月に社長に就任して8カ月余が過ぎた。特に注力している点は。
【山名】歴史的にモノづくりの会社である当社は、今後も製造業として卓越した力をつけていくのが基本だが、今日の日本の製造業の課題として、いい技術でいい商品をつくったからといって右肩上がりの成長が約束される時代ではない。お客様からすると商品を購入したらどんなにいいことがあるのか、当社の商品を通じて経営的な課題を解決できるところまで持ち込むことが大切だ。
要するに、お客様の経営課題を解決するような、商材の組み合わせをサービスとしてお届けする。ここで言うサービスは、クラウド(データをインターネット上に保存する使い方)を利用したり、課金ができたりなど、ビジネスモデルをハード主体からサービス主体の事業モデルに改革する必要がある。商品がコモディティ(汎用)化して価格競争に入ればその製造業は衰退するが、最も大切なことは当社の製品群に付加価値をつけてもう一度活性化する、ここに新たな成長の糧が生まれる。