2割の「低貢献度」社員を辞めさせる恐るべき手法
企業にとってはその都度、希望退職募集を行うよりは、リストラを常態化して毎年一定数の社員に辞めてもらうほうがはるかに効率的である。その手法を筆者は“常時リストラ”と呼んでいるが、欧米系企業が導入し、その後、一部の日本企業でも導入が進んでいる。
一般的にはPIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プラン=業績改善計画)と呼ぶ手法で定期的なリストラを実施している。基本的には人事評価が低い社員に改善目標を設定し、達成できなければ退職してもらうという仕組みだ。
具体的な手法は企業によって異なるが、ある米系アパレルメーカーの人事部長はこう説明する。
「縦軸に業績評価、横軸に行動評価結果を示すマトリックスを作成する。業績、行動評価ともに高い人はAランク、業績は高いが行動評価が平均より低い人はBランク、業績は平均より低いが行動評価が高い人がCランク、業績、行動評価ともに低い人がDランクにそれぞれ分布される。PIPの対象となるのはDランクの社員だ」
社員の貢献度割合を示す2:6:2の原則というのがある。
優秀な社員が2割、普通の社員が6割、貢献度の低い人が2割というものだが、大体、Aが2割、B、Cが6割、Dが2割という比率になるという。
とはいっても米本国と違い、雇用規制が厳しい日本で2割の社員を切るのは厳しすぎると本国の人事に陳情し、下位10%を対象にしている。他の外資も概ね5~10%を対象にしている企業が多いようだ。
対象者は部門長と話し合って半年間の達成目標を設定する。つまり、半年間のチャンスを与え、達成できなければ退職勧奨し、辞めてもらう。実際は半数以上が退職しているという。だが、この場合に日本企業の人事担当者が不安を感じるのは労使紛争だ。「わかりました」と納得してもらえればよいが、納得せず裁判沙汰になるのは避けたい。