高井さんは、早起きにはいろいろなメリットがあると力説する。まずは[1](http://president.jp/articles/-/13281)の佐々木さんと同じく、充実した自分の時間が持てること。昼間は来客があったり、電話がかかってきたりするので、自分の時間がなかなか確保できない。朝ならそういうことがないので、仕事に集中できる。
また、朝は頭がよく働くので、仕事の効率もいい。朝の1時間で、昼間の3時間分の仕事がこなせる感じだという。頭がさえているせいか、いいアイデアも次々と湧いてきて、それをメモに取って後で役立てられる。それに、早起きは営業でも有利で、クライアントに朝一番で連絡を取ると、「あの法律事務所は朝早くから仕事をしている」と信用してもらえるようになる。
朝活を始めて、常に先手、先手を打てるようになってから、高井さんは弁護士の仕事でも大きな効果を実感した。裁判では、相手側がどんな証拠を掲げてくるのか、どんな質問をしてくるのかを想定し、事前準備をしておくことが何よりも重要。勝訴に導けるかどうかは事前準備の差で決まるといってもいい。高井さんは、法廷で相手側がタジタジになるような鋭い反対尋問を繰り返し、「反対尋問の名人」という異名を取ったのだが、これも朝活で丹念に事前準備した賜物だという。
朝活の6番目と7番目のメリット「先手必勝癖」「早朝電話で顧客の信頼獲得」をフルに活用した高井さんの勝ちパターンは、企業の経営戦略にも相通ずるところがある。ビジネスマンも大いに参考になるはずだ。
1937年、愛知県生まれ。東京大学法学部卒業。73年、高井伸夫法律事務所を開設。2010年、高井・岡芹法律事務所会長に就任。『3分以内に話はまとめなさい』『仕事で人は成長する』など著書多数。