前回のココイチ創業者、宗次徳二氏に続いて、朝活の達人、ふたりの話である。ひとり目は太田彩子さん。営業女子の育成プロフェッショナルとして大手企業などにコンサルティングを行っている。

太田彩子●ベレフェクト代表取締役。リクルートを経て独立。営業コンサルタントとして女性を中心に4 万人以上を支援してきた。
太田彩子●ベレフェクト代表取締役。リクルートを経て独立。営業コンサルタントとして女性を中心に4 万人以上を支援してきた。

「早起きは習慣になっています。夜の12時に寝たときは午前4時に起きますし、午前一時のときは5時起きです。

早起きは目的意識が明確でないと続きません。私の場合は、起きたらすぐにアウトプットします。企画書を書く、研修構成の大まかな流れをつくるといった仕事をすることにしている。朝イチだと頭がさえているから、いいプランが出る。以前、早起きに挫折していた頃は、読書とか英会話の勉強のようなインプットをしていました。でも読書って、キリがないでしょう。その点、アウトプットは納期が決まってるから集中して、仕上げることができます。

早起きすると、いいことがありますよ。気持ちが前向きになるし、それに、前夜の酒量が減るから体調は良くなる。

仕事面で言えば、できる営業マンは『朝営業』をやっています。出社前の午前7時くらいに目当ての中小企業に飛び込みで営業をする。

今はどこの会社もセキュリティが万全になっているでしょう。営業中は簡単にオフィスには入れない。ところが、朝の7時くらいだと、社長さんがひとりで会社の前を掃除していたりする。『おはようございます』と一声かけてから営業をすると成功率が高い」

もうひとりは池田千恵さん。彼女は「朝のスペシャリスト」。現在、始業前の時間を有効活用する大人の遊び場「Before 9」を主宰している。

池田千恵●CONECTA代表。図解化コンサルタントとして活躍。朝活を提唱する「Before 9プロジェクト」を主宰している。
池田千恵●CONECTA代表。図解化コンサルタントとして活躍。朝活を提唱する「Before 9プロジェクト」を主宰している。

「早起きとはプチ成功体験だと思う。なぜなら早起きは誰にでもできることですし、365日できる。たとえ、1日、寝過ごしても、翌日、早起きすれば挽回できる。やろうと思っている人はすぐに早起きしてみるといい。

会社員時代、朝の4時半に起きて、5時10分発の電車で、オフィスのある赤坂に通勤していました。6時過ぎには赤坂のファミレスに入り、勉強と仕事の段取りをしてから8時に出社。出社した時点で段取りは済んでいるので、全開で仕事をすることができました。

現在に至るまで、早起きを続けていますが、もっとも感じたことは、『早起きすると人生は逆転』すること。

まず、早起きすると前向きになります。プチ成功体験を重ねることで自信がつき、前向きな自分になれる。

次は仕事の段取りがよくなる。前夜、翌日の仕事の段取りを考えていると、『夜はいつまでもある』気になってしまい、だらだらとやってしまう。ところが早起きして、仕事の段取りを考えると、出社までにやらなくてはならないから、短い時間に集中できる。そして、段取りがよくなった結果、仕事が早く終わるようになる。終業後のビールもおいしくなる。

ただ、早く起きること自体は目的ではありません。実は、私が伝えたいのは、早起きして『自分と向かい合う』こと。自分のダメなところを直視できない人は仕事もうまくいかない。ただ、夜だと落ち込むから向かい合うのは朝にする。朝の静かな時間に自分のことをじっくり考えてみるといい」

結局、いずれの達人も、「目的を持って朝の時間を使う」ことを提唱している。仕事をする、自分と向かい合う、掃除をする、朝礼をする……。要するに、細胞が活性化している時間を有効に使えということなのだろう。

(大沢尚芳=撮影)