そんな伊藤のパーソナリティを佐藤は、「フットワークがよく、言ったことをすぐ実現させる。ミスしても修正が速い」と評する。どんなミスを? と水を向けると、「たくさんありすぎて……」と2人して笑った。
「欠品に対するフォローが速い。その時点でしか手に入らない商品が品切れになったときに、こちらの無理をきいて、全国から追加分をかき集めてくれたこともある」と佐藤。伊藤は言う。「欠品は一番やっちゃいけないこと。社内でも奪い合いですが、その調整を行う部署とは『こういうときだけ言ってくるな!』と言われぬよう、日頃からコンタクトを取っています」。
今年、伊藤は佐藤にまったく新しい提案を行った。全国9万8000以上の小売店のチラシがスマホやパソコンで閲覧できる電子チラシポータルサイトShufoo!を使い、お盆(8月10日)に行うヱビスの推奨販売の告知を行う。
「販売だけでなく、集客までお手伝いしようということです。実験的な企画でコープネット様だけにご提案していますが、発案したのは社内のヱビスブランド担当部署なんです」
「新鮮な企画」と佐藤も絶賛するこの提案。過去に囚われている組織からはなかなか出てこないアイデアだろう。
「伝統、伝統といっても、新しいことをいろいろとやりながらの百何十年だと思いますので。今もそれは変わっていないところじゃないでしょうか」
控えめながら、佐藤はそう誇った。(文中敬称略)