「ヱビスはすでに100年以上売っているビールであり、生まれたときからプレミアムなのです。同時にレギュラービールの1.5倍もの長期熟成をさせることで、深いコクを出している。100年を超える歴史とそこから生まれた文化、そして独特の深いコクは、他社さんには絶対に真似のできないものです」
時松によれば、今年のテーマはそのものズバリの「歴史とコク」。夏のギフト限定でアルコール度数が7%と高く、オンザロックで飲めるほどコクのある「夏のコク」を投入する。
ヱビスはここ数年、こうしたエクステンション商品をいくつも出している。現在も「シルクヱビス」「ヱビスプレミアムブラック」「薫り華やぐヱビス」コンビニ限定の「ロイヤルセレクション」があり、秋からは「琥珀ヱビス」が期間限定販売される。
「歴史ゆえに、敷居が高いと感じている方もおられると思うのです。一度ヱビスを飲んでみたいという気持ちはあっても、そんなにポンポン手が出るものではない。そうした方にエントリーしていただくために、ヱビスの側から新しい商品で情報発信をしているわけで、最終目的はやはり、金ヱビスをお飲みいただくことにあります」
これらのエクステンション商品は、プレモルにとっての「香るプレミアム」に似て、主ブランドたる金ヱビスへの導入役というわけだ。
「ビール類全体がコモディティー化していく中で、ビールそのものの価値をどう上げていくかは業界全体のテーマでもあります。サッポロビールとしてはヱビスにリソース(経営資源)を集中させて、広告のボリュームも3割ほど増やしていく予定です」
その甲斐あってか、今年のヱビスは昨年の「2割増し以上」の売れ行きで推移しているという。