「まずは大企業に入ったほうがいい」
私がビズリーチの立ち上げを手伝うことになったのは、その彼が事業を新しく始めようとしていたタイミングで、団体の代替わりがあったからでした。大学を留年したので、団体の代表を退いた挨拶もかねて「1年、暇になりました」と南に電話をしたんです。そうしたら、「ちょうどいいから、明日おいでよ」と。
当時のビズリーチはマンションの一室でサービスの立ち上げ準備をしていて、私は人材業界や採用業界の歴史を調べたり、他社のサービスについてのリサーチをしたりすることを主に担当しました。
実を言えば、当然自分はそのままビズリーチに入るものだと思っていたんです。だから、就職活動もしていなかったんですよ。そうしたら半年が経とうとするある日、南から「おまえはどうするんだ」と言われて。
「特に考えていなんですけど」と言いながら、心の中では「うちに来いよ」と言われるものだと思い込んでいました。ところが、南は「それだったら、まずはでかいところに行けよ」と言うんです。「お前も何かを仕掛けたり、つくったりすることをやりたいんだろ。それならまずは大きな企業に入って、良いところも悪いところも含めてみてきたほうがいいぞ」と。それで楽天に入ったというわけです。
思えば彼もモルガンスタンレーの出身ですし、楽天の三木谷社長も興銀出身なんですよね。それを言われたときは大人の意見だなと思うだけでしたが、あらためて振り返ると楽天で4年間働いたことでとても視野が広がった。彼の言っていたことはとても正しかったんだといまは感じています。