家は住んでいるだけでは単なるストック


全見取り図:持ち家派?賃貸派?リフォーム派?

家は、自分たちが住んでいるだけでは単なるストック(資産)にすぎず、売ったり、貸したりして初めてフロー(お金)を生む。これを考えて老後の生活設計をしなければならない。

では、どうすればいいのか。その考え方を示したのが「住み方とお金」の全見取り図だ。そこで示されているように、特に持ち家派には、さまざまな住まいのフロー化の方法がある。ざっと見てわかるのは、家を売ったり、貸すことで老後の負担が比較的軽くなるということだ。

例えば、持ち家を貸して自分たちは新たに購入した家に住み替えれば、老後の負担は1050万円程度ですむ。貸して借りる方法では1150万円程度である。持ち家を売って、その資金をもとに住み替えるのであれば、負担は1100万円だ。

住み続けることを前提に、リフォームだけに止めるならば1250万円の負担だが、建て替えとなると、老後に3200万円もの支出を強いられる。二世帯住宅にして、コストの一部を子ども夫婦に負担してもらうようにすれば、老後の出費は1860万円に抑えることができる。また、一部を賃貸にして貸し出せば1700万円の負担に軽減できる。

賃貸派は、現役時代に住宅ローンを組んでいなかった分、2000万円の貯蓄があるとの前提だが、老後も賃貸住まいを続けるのであれば貯蓄を取り崩したあとの負担は1250万円程度となる。貯蓄を住まいの購入に充てて、持ち家派に鞍替えすれば貯蓄のほかに1000万円の支出だ。

持ち家をフロー化させるにしても、老後の生活スタイルは、住んでいる場所や夫婦、家族の事情、さらには貯蓄額などによってさまざまに変わる。全見取り図を参考に、自分たちにとってどれがベストな選択なのかをまずは検討していただきたい。

(構成=山下知志 撮影=熊瀬川 紀)
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