若い頃に戻ってやり直したい……。そんな後悔をしないために、どんな準備が必要か。「プレジデント」(2018年1月1日号)では、60歳以上の男性120人に、健康や家計など6つのジャンルの「後悔」についてアンケート調査。その結果を識者に考察してもらった。第2回は「家計」について――。

生活費月25万円を15%減、25年間で1100万円の老後資金確保

老後のためにいくら資産が必要なのでしょうか。

夫が平均的な給与で40年間厚生年金に加入、妻が専業主婦、2人で90歳まで生きる場合を考えてみましょう。私がシミュレーションした結果、予想支出額は9100万円。年金と退職金、企業年金をあわせた収入がおよそ8500万円になりますので、1000万円ほど貯蓄があると安心でしょう。あくまで「標準世帯」を対象にしているので、共働きや自営業の場合は金額も異なることに注意してください。

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では、どのように貯蓄をしていくのか。取り組みやすいのは生活費のダウンサイズです。

たとえば、月25万円の生活費を15%減らすと、25年で1100万円の老後資金が確保できます。私が見てきた限り、家計費の内訳は、「必要なもの」が70%、「欲しいもの」が30%。「欲しいもの」を半分の15%に削減し、15%を貯金しましょう。家計簿は手間がかかるので、レシートをノートに貼りつけ、「必要なもの」以外を蛍光ペンでマーキングしてみる。自分の無駄遣いを見直し、反省できます。たいていはお酒やお菓子などの嗜好品です。これらを削ることで、生活習慣病の予防も兼ねることができ、医療費の節約になります。

教育費と住宅費の見直しも必要です。

教育費は大きな支出です。大学進学まで含めると、すべて国公立でも986万円ほどかかります。とくに大学ではお金がかかるため、子どもが小さいうちから積み立てておきましょう。足りない場合は奨学金を借りる方法もあります。むしろ子どもの就労のモチベーションが上がるかもしれません。

65歳まで住宅ローンを借りている方も多いと思いますが、定年後に負債を抱えているのはリスクが高い。60歳までに完済できるよう、プランを見直してみましょう。

私のおすすめは60歳になってから家を買うことです。子どもが生まれた30代のタイミングで買う方が多いのですが、せっかく広い家を買っても老後はたいてい夫婦2人暮らし。築30年ほど経つとリフォームの費用もかかります。ですが定年後に家を買うと、通勤も考慮しなくてすみますし、部屋数も少なくていい。安くて新しい物件で老後を過ごせるのです。