寿命を縮めるアルブミン不足

実際にタンパク質を積極的にとることが、健康長寿をもたらすというエビデンスも出ていることに溝口院長は注目する。

「秋田県の大仙市は、かつて平均寿命がとても短かった。そこで、大仙市役所は18年前、アルブミンという血液中のタンパク質に注目して、成人男性は1日60グラム、成人女性は1日50グラムを目標にタンパク質をとるよう、食事指導を始めました。アルブミンが基準値内であっても低値であると、がんなどさまざまな病気での死亡率が上昇することがわかっていたからです。その結果、肉や卵など動物性タンパクの摂取量が増えても大仙市民の動脈硬化は減少し、平均寿命も全国平均に追いつきました。オーソモレキュラー療法の考案者の一人であるポーリング博士は、栄養状態が理想的であれば、人間は120歳まで生きられると主張しています」

ところが、アレルギーの治療現場ではタンパク質除去が指導されることがある。アトピー患者で肉や魚を食べない人が多いのもこのため。しかし、溝口院長によれば、そこにも誤解があるというのだ。

「アトピーの患者さんの場合、IgE抗体検査をすると、さまざまなタンパク質に対してアレルギー反応を示すことがあります。ただし、タンパク質の摂取によって症状が悪化していない限り、本来必要な栄養をとらないというのは問題です。魚の脂に含まれるEPAには、アレルギーによる炎症をブロックする働きがあります。卵や乳製品のタンパク質が原因となるアレルギーは確かに多い。しかし『肉→魚→卵→大豆』といった具合に、違う種類のタンパク質を交代でとるようにすれば、発症を抑えることも可能なのです」