世界一のブランドをつくるという夢

ホルスト・シュルツ氏

「見えない世界」に身を置くのは恐怖です。「見えている世界」で日々を過ごすほうがどんなに安泰でしょう。しかし、あえて見えない世界へチャレンジし続ける。このことを実行してきたのがシュルツさんです。

18歳で単身渡米、アメリカでラグジュアリー・サービスの研鑽を重ね、ハイアットホテル副社長の座に昇りつめたにもかかわらず、その地位を捨て、慣れ親しんだシカゴからアトランタのリッツ・カールトンへ移ることをシュルツさんは決めました。

「なぜ今の素晴らしい仕事をやめて、会社を捨て、地位と安定まで捨てて、まだホテルすらないホテル会社に勤めるのか?」

シュルツさんの決断に、ハイアットの仲間や大勢の友人はショックを受けたといいます。

「シカゴを離れるとき、高速道路からハイアットの本部が見えました。それは、とても辛く、感傷的な時間でした」(シュルツさん)

それでも、シュルツさんは苦痛を伴う道を選びました。世界で最高のブランドをつくるという夢に向かって人生の舵を切ったのです。