志の高い人が多いので、安易な気持ちは捨てる

それでは、これまで見てきたような給料をもらえる学校に進学する際の留意点などはあるだろうか。

「学校ごとの目的や専門性がはっきりしていますので、それらが受験生本人の適性や将来設計に合っているかどうかが、何よりも重要です」と石渡氏。「経済的理由で入った学生さんも多少はいると思いますが、大半の人ははっきりした目的意識を持ってこの道を選んでいます。親や先生に勧められて、というパターンはそれほど多くはありません」

訓練や勉学のハードさ、24時間の集団生活に適応できずに中退するケースもある。「入ってみないと合う、合わないがわからない部分はどうしてもあります」(石渡氏)

また、大学校の場合は受験としてみた場合、入試の難易度は相当に高い。「気象大学校の試験の英語は東大より難しいという噂がもっぱら。防衛大学校は旧帝大を除く国公立大上位クラス、防衛医大は、やはり国公立大医学部の中でも上位に入ります」(石渡氏)

試験申し込みの締め切りが、通常の大学よりかなり早いことも、「入試難度」を上げる要因となっているようだ。たとえば、防衛大学校の一般採用試験の前期日程は、9月末に願書提出締め切り、11月に試験実施というスケジュールだ。

面接がある大学校もあるが、「基本的には公務員採用試験と同じと考えてください。ときどき勘違いしてふだんの私服で受けにいく人がいますが、スーツか、高校の制服で臨むのが常識です」(石渡氏)。

さらに学校によっては、身体検査で視力などに厳しい基準を設けている場合もあり、受験資格を満たしているかの注意も必要だ。

と、ここまでハードルの高さをあげてきたが、何より大変なのは、学習や訓練の厳しさだろう。

「とくに海上保安や航空保安、自衛隊は訓練がハードです。土日も勉学や自主トレは当たり前。休みの日ぐらいのんびり、といった心構えでは、とてもついていけないでしょう。目的がないと、つらいだけです」と石渡氏。

人命を守る仕事だけにやむをえない部分はあるが、一定の覚悟はしておいたほうがよさそうだ。退学する子がいる一方で、体力にあまり自信がなかった子が逆三角形の体形に変わって問題なく対応しているケースも多いと聞くから、努力しだいともいえるのかもしれない。