航空機に気象情報や周辺の他の航空機の情報などを伝える「航空管制運航情報官」や、航空管制に必要な機器の設置と管理を行う「航空管制技術官」を養成するのが、関西国際空港のすぐそばにある航空保安大学校(大阪府泉佐野市)[→月々約14万円の給与支給]だ。それぞれの進路に応じ、「航空情報科」と「航空電子科」の2つのコースに分かれている。
航空管制運航情報官を養成する航空情報科のほうは、合格者の女子比率が44%以上と意外に高いのも特徴だ。いずれも2年制で、学士号は付与されないが、卒業後は国交省の職員として、各地の空港などで勤務する。14階建ての寮はすべて個室型。食費や水道光熱費などは自己負担となる。
「飛び交う航空機に次々と指示を出さねばならない業務の性質から、同時に複数のタスクをこなす能力が求められます。学生はふだんの生活でも、仲間同士でテレビゲームをしながらしりとりをするなど、いろいろな『自主トレ』をやっているようです」と石渡氏。試験は1次試験と2次試験に分かれており、1次がペーパー。選択式の基礎能力試験と学科試験で、航空情報科が数学と英語、航空電子科が数学と物理。難易度は偏差値58~57と国公立大学レベル。
なお、パイロットを目指したい場合は、「航空大学校」(宮崎県宮崎市、2年制)があり、高卒程度で入学資格がある。飛行機操縦科の募集は72人。ただし、年間100万円程度かかる。
海上保安庁の幹部職員を育成するのが、海上保安大学校(広島県呉市)[→月々約14万円の給与支給]だ。教育期間は本科4年、専攻科6カ月、研修科3カ月の計4年9カ月。国際法や刑法などの法律、船を動かすための知識、海難救助や海上犯罪摘発に必要な専門知識などをみっちり学ぶほか、乗船実習なども行う(専攻科では世界一周の航海実習も)。本科を修了した時点で、学士号(海上保安)も授与される。卒業後は初級幹部として巡視船に配属される。その後は陸上勤務なども経験しながら、キャリアをアップさせていくことになる。
試験内容は1次が選択式の基礎能力試験と学科試験、記述式の学科試験と作文。2次が人物試験、身体検査・測定、体力検査。筆記の科目は数学、英語、物理または化学。偏差値は56だ。
2013年度の採用試験は、倍率10倍以上の狭き門「同庁をテーマにし、映画化もされたコミックス『海猿』のヒットで一時期志望者を大きく増やしましたが、その後も安定した人気を集めているようです」(石渡氏)
海上保安庁には、一般職員を教育する海上保安学校(京都府舞鶴市)[→月々約14万円の給与支給]もあり、こちらも給与を支給されながら学ぶことができる。ただし教育期間は1~2年で、学士号は取得できず、卒業後のキャリアパスも海上保安大学校とは異なる。