国を守りたい。使命感のある子には

続いて、防衛省が設置する2つの学校、「防衛大学校」と「防衛医科大学校」について見てみよう。

防衛大学校(神奈川県横須賀市)[→月々約11万円の給与支給]は、陸・海・空の各自衛隊の幹部自衛官候補を育成する教育機関。大学相当の各種基礎教育や教養教育、専門教育である防衛学や工学系の講座を受講するほか、自衛官として必要な体力づくりや各種の訓練も受けることになる。

「防衛大に進学した高校の後輩がいるのですが、かなりの体育会系だったにもかかわらず、『初めのうちは体力的にきつかった』と振り返っていました」と石渡氏。

「毎年恒例の開校記念祭のときに学内の売店をのぞいたのですが、大袋入りのプロテインがずらりと並んでいました。どれだけトレーニングしているのかと感心しました(笑)」

加えて、学生全員が部活動にあたる「校友会活動」に参加しているのも大きな特徴だ。

学科は人文・社会科学系が3学科、理工学系が11学科あり、第2学年進級の際に、本人の希望や成績に応じて各専攻に分かれる。また、陸・海・空のどの自衛隊に進むかも、このタイミングで決定される。成績上位の約10%の学生には、海外の士官学校への短期留学プログラムも提供される。

「海外からの交換留学生もけっこういますよ」(石渡氏)

もちろん全寮制で、国交省所管の大学校と異なり、水道光熱費や食費も国費で負担される。一方で、6時起床に始まる厳格な日課、平日は外出禁止など、一人前の自衛官と同様の規律を守る生活が求められる。

卒業後は各自衛隊の幹部候補生学校で1年ほど研修を重ねた後、幹部自衛官(3等陸・海・空尉、他国の軍隊では少尉に相当)として、部下の命を預かる指揮官としての仕事を始める。幹部候補生学校入校時の「初任給」は、21万円強。以後は年1回の昇給があるほか、勤務や職種に応じて各種手当が支給される。

難易度は人文・社会科学系が偏差値64、理工学系が59で、2013年度の一般採用試験は、12.4倍もの高倍率。

「多数の上位中高一貫校が、難関国公立大受験の力試しとして生徒に受験を勧めていることもあり、かなり難易度は高めです」(石渡氏)

この他、ボランティア活動やスポーツ・学業分野での顕著な実績がある学生向けの「総合選抜」や、各高校からの校長推薦による採用試験枠もある。