――一方、赤字の元凶となったプラズマテレビ事業は、今後はどうなりますか。
【津賀】これは、お客様が決めること、というのが基本的な姿勢です。プラズマテレビのよさは認められたものの、工場をフル稼働させるだけの台数を売ろうとすれば、値段を下げざるをえない状況に陥り、赤字が拡大していった。ピーク時には年間700万台を販売していましたが、私がAVCネットワークス社の社長のときにはこれを250万台に下げ、利益が出る機種に絞り込んだわけです。尼崎の工場を維持するコストや、我々に部材を供給する企業のビジネスを見たときに、ある数量を維持しないと継続できないのですが、もはや、その限界にまできている。しかも、さらに数は減っていくでしょう。一方で、パナソニックは、大型液晶テレビに力を入れたり、有機ELテレビの開発に力を入れています。プラズマテレビの台数が下がっても、パナソニックのテレビの価値は下がっていない。次の世代に対して、パナソニックのテレビの価値、ディスプレーの価値というものを高めていくことに努力していきます。
――20年に東京オリンピックの開催が決まりました。どんな影響がありますか。
【津賀】東京オリンピックの開催が決定したことは、いろんな意味で追い風です。ただ、私が期待しているのはテレビ需要ではありません。期待しているのは、国内の建築需要が見込まれること、そして、非住宅のビジネスが大きなものになるという点です。そこに新たなパナソニックの強みが発揮できると考えています。
1956年、大阪府生まれ。府立茨木高校卒。79年大阪大学基礎工学部生物工学卒業後、松下電器産業(現パナソニック)入社。86年カリフォルニア大学サンタバーバラ校コンピュータサイエンス学科修士課程修了。2004年役員、08年常務役員、11年専務役員、12年4月代表取締役専務を経て、同年6月から現職。