小規模な小売業の参入は原則として不可

相談が多いのは小売業だ。小売業についても、(2)の内の、27種類の特定の条件付きで認められる事業の内の1つ。原則的には、小規模での小売業としての参入は不可。スーパーマーケット、百貨店、ショッピングセンターのような大型小売形態での参入は認められる。この場合も距離要件が付加されており、ミャンマー企業による既存の店舗から近い立地では参入不可とされている。その他にも、ミャンマー産品の優先仕入れ条件や、合弁事業の場合にはミャンマー側の出資下限が40%との条件もつく。

インフラ整備も進む一方で、法の整備も着々と進められている。

以上のように、ミャンマーにおける業種規制は、法律、規則、通達で、細かく分類がなされており、業種・事業該当性、許認可に必要となる条件や要件を、詳細に精査する必要がある。この辺は、最終的なライセンス認可に関わる判断が、行政裁量において個別判断されるケースが多いことから、まずは、ミャンマーにおいて行う事業の範囲を固め、その上でライセンス申請の準備のため、現地の法律事務所や行政の窓口でのヒヤリングを早期に進めるべきである。今のミャンマーの業種規制が、ミャンマーへの参入障壁になっている事実はない。他のアジア諸国においても、同種の業種規制は存在するし、行政裁量の部分についてもアジアではよく見られる運用だ。

まだまだ、知的財産関連法などを含め、ミャンマーのビジネスローは未整備な部分が多い。旧ビルマ法典以来、改正作業の行われてこなかった会社法についても、いよいよ改正作業が山場を迎えている。

産業インフラの整備も急ピッチで進んでいるが、法整備の方についても徐々に改正作業が進んでいる。しかし、茲許のミャンマー連邦議会において審議される法案の数があまりに多いため、次期議会へ法案審議が先送りされるケースも続出しており、法案の交通渋滞状態が生じており、法案が完成しても、議会で成立するまでの時間が読めないという不確定要素も存在する。しかし現政権の経済開放路線に変更はない。法整備の動向も踏まえながら、進出を検討する日本企業は、粛々と進出準備を進めるべきであろう。

関連記事
ミャンマー投資、日本企業はここを間違える
米日韓が「エース級」人材を投入するミャンマー市場
沸騰ミャンマー投資【1】賃金・家賃が高騰
アベノミクスとミャンマー投資、その浅からぬ関係とは?
シンガポールにいま、お金持ちが集まる理由