ソフトバンク 
人事本部採用企画部部長 
仙田厚毅

国外の優秀人材の獲得を目指す一方、国内でも学歴ブランドにとらわれない採用を行う企業もある。ソフトバンクは通常の選考以外にエントリーシート提出や筆記試験がなく、いきなりプレゼンから始まる「NO.1採用」を実施している。我こそは1番と思うものについて10~15分でプレゼンし、そこで獲得した経験なり、プロセスを聞いて評価しようというものだ。応募者のナンバーワンはスポーツ系をはじめ様々であるが、もちろん大学ブランドも関係なければ筆記試験もないので学力も問われない。

では学生にどんな資質を求めているのか。仙田厚毅人事本部採用企画部部長は「なんらかのスポーツでナンバーワンになったといっても、入ってすぐには戦力にならないと思いますが、1つの大きな目標を持ち、必死に努力してきた、あるいは人一倍創意工夫を重ねてきた経験というのは仕事の中でいつか生きてくると思っています。1年目に芽が出なくても、2年目、3年目にはおそらくなんらかの形で絶対に活躍するだろうと考えている」と語る。

ナンバーワンそのものに意味があるのではなく、勝ち取るプロセスで養われる本人のチャレンジ精神と主体的行動力を重視していると見ることができる。だが、見方を変えれば、こうした選考方法は本来の大学での専門教育に重きを置いていないことの一端を示しているのではないか。

今の日本では大学生の就職難が叫ばれているが、企業側にとっては求める人材が少ないという悩みを抱えている。そのためAPUのオンキャンパス採用も含めてあらゆる方法を駆使して、国内外の優秀な学生の獲得に血眼になっている。今では東大をはじめとする旧帝大や早慶ですらも希望の企業に就職できない時代に突入している。企業のニーズに合う学生を養成する大学が台頭していく中で、旧来の学歴ブランドがますます流動化していくのは間違いないだろう。

(小原孝博、奥谷 仁=撮影)
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