経営学部の石川淳教授(キャリアセンター部長)は高い就職率の理由について「英語が話せるとか、プレゼンがうまいという部分もあるかと思いますが、本質的には論理的に思考できる、自ら主体的に動くことができる、ディスカッションでリーダーシップを発揮できることが評価されているのだと思います。経営の専門用語では『訓練可能性』と言いますが、我々のプログラムを通じて訓練可能性が身についていることが大きいと思います」
企業が求める人材ニーズに真摯に向き合う教育を実践していることが、大学・学部の就職率の高さにつながっていることはもはや言うまでもない。しかし、日本の大学はそうした人材を数多く供給することができないでいる。その結果、大手企業の多くは海外の若手人材の獲得に乗り出している。
ソニーはすでに01年から中国、08年からインドでの採用活動をスタートし、新卒に占める外国籍の比率を徐々に増やし、13年度には30%に拡大する予定だ。前出の三菱重工もこれまでアメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポール、韓国での採用を実施し、12年はインドでも行う。もちろん海外事業戦略上の観点からの外国人採用という側面もあるが、国境を越えて優秀人材を獲得していきたいという思いが強い。
そうした傾向が強まれば強まるほど、採用選考の指標となっていた国内の学歴ブランドの価値は徐々に低下していかざるをえない。大手ITメーカーではアメリカ、中国、インドの大学出身者の獲得に乗り出している。同社の人事部長は「米国のマサチューセッツ工科大学やプリンストン大学、中国の北京大学をはじめいろんな大学を回っているが、正直言って日本の東大生より優秀な学生が多い。ただし欲しい学生はいるが、競争が厳しくてなかなか獲得するのは難しい」と語る。