旧来の学歴パワーの流動化がすすむ

日本HP 人事統括本部長 
有賀 誠

では企業側は経営学部の学生をどのように評価しているのか。じつは日本HPは2期生以降、毎年採用している。今回の学生のプレゼンを見学した有賀誠取締役執行役員・人事統括本部長はこう評価する。

「実在するビジネスの課題を取り上げて、チームと当社の社員が一緒に協力しながらアウトプットをしていく。そのプロセスの中では当然意見の相違もあったでしょうし、時には先生の指導に従えないという場面もあったかもしれません。そういう経験を経てチームとしてアウトプットを出していくわけですが、その中でリーダーシップについての学びや気づきは、企業社会に入ったときには大きな即戦力につながる要素だと思います」

有賀人事統括本部長はこれに加えて「プレゼンを聞いて、1年生が3年後にぜひHPに行きたいと言ってドアを叩いてくれたらうれしい」と期待する。

経営学部の取り組みを高く評価するのは、日本HPが学生に求める資質と重なっているからだ。

「採用の際に面接官と確認しているのは、チームワークとリーダーシップの2つが両立できる人材でなければHPでは活躍できないということです。俺が、俺がというリーダーシップではだめですし、言われたから黙ってついていくというフォロワー的なチームワークでもだめです。1+1=3にできるような、それぞれがチームの中でリーダーシップを発揮できる人材を求めています」(有賀人事統括本部長)

チームワークとは、単なる迎合ではなく、チームの中で自分の果たすべき役割を持ち、仲間と共に目的を達成できることだ。リーダーシップとチームワークは日本HPに限らず、企業が学生に求める共通の人材ニーズだ。これは経営学部が目指す教育の方向性とも一致し、結果として高い就職実績にもつながっている。