1つは、丸紅が、ガビロンを買収したことで、中国での販路が1つ減る。そうすると、適正な競争がそがれることになるため、数年間は、丸紅、ガビロンの販売チャンネルをそれぞれ残しなさいというもの。もう1つは、ガビロンを傘下にした丸紅が、今後、中国市場で、その優位性を利用し、価格、数量などの“談合”を行ってはならないというものだった。
ガビロンの最終的買収額は、当初は36億ドル(約3600億円)を見越していたが、最終的にエネルギー部門を外した27億ドル(約2700億円)で着地した。
「通期で150億円超の純利益に貢献する」(丸紅・松村文彦CFO)というように、ガビロン買収の効果は早くも出ている。
穀物メジャーデビューを果たす丸紅にとっての未来はどうなるのか。合従連衡を繰り返してきた穀物メジャーにとって、残された「フロンティア」は、数少ない。その1つがロシアとウクライナである。ロシア、ウクライナへの進出を岡田は表明し、その道を探し始めている。
ガビロン買収の調印のために米ネブラスカ州オマハを訪問していた朝田会長(前社長)は、ガビロン買収は次へのステップの布石だと明言した。
「時間をかけても仕方ない。ガビロンの果実は2、3年で刈り取る。丸紅、ガビロン両社の穀物取扱高は現在5880万トンで、首位のカーギルまであとわずか600万トンあまりに迫っている。今後は、世界ナンバーワンを目指す」
ガビロン買収で新天地に立った丸紅。さらなる高みを目指すとき、その姿はどんなものになっているのだろうか。