「攻めの経営」を打ち出す年頭所感

主要企業トップの2015年の年頭所感は、総じて“攻めの経営”を打ち出している。その自信が、日本経団連の榊原定征会長の「豊かで活力ある国を再生する」という新年メッセージにうかがえる。そこでは「アベノミクスは着実に成果を上げ、デフレからの脱却が視野に入りつつある」という認識が示されているが、これが経済界全体のコンセンサスになっているようだ。

ただ、アメリカの景気の持ち直しや円安が日本経済を後押しするという期待がある一方で、消費増税の影響は、予想以上に日本人の消費行動を委縮させている。とはいえ各社とも、このチャンスを逃してしまうと業績拡大はないという気構えで、当面の課題に取り組む。そこで注目してみたいのが、それぞれのトップが年頭所感で挙げる、会社が求める“○○力”という言葉だ。そこから、今年の経営のトレンドを探ってみたい。

混沌とした時代を勝ち抜いていくには、やはり「現場力」が不可欠になる。丸紅の國分文也社長は、社員が自分の仕事に対するオーナーシップ意識を持って欲しいと訴えたうえで「当社にとって最も重要だと考える現場力の原点も、このオーナーシップ意識にあると思います」と語りかける。三井住友銀行の國部毅頭取も同様に「現場力を発揮し、達成感、やりがいを皆で共有する」ことを強調。同行の強みは、フロント、事務、本部の力に裏打ちされたチームワークだと述べる。

この日本企業が伝統的に大切にしてきたチームワークは「グループ力」と言い換えてもいい。オリックスグループの井上亮CEOは、自社のビジネスモデルに最も重要な要素と特長をここに求める。そして「グループ力の元をたどると社員一人ひとりに行き着く。一人ひとりが柔軟性を持ち、臨機応変に対応できる知識を身につけ、チャレンジ精神を持ち続けることが必要である」と語った。