「個の力」を「組織の力」に

グループ力というのは総和であり、それを形づくるのは「個の力」にほかならない。住友商事の中村邦晴社長が「我々の底力を見せるには、まず、我々自身の『個の力』を存分に発揮すること。そして、『個の力』を余すところなく、『組織の力』に繋げていく必要があります」と話しているとおりだ。一騎当千の個人のパワーを求めるのは、明治安田生命である。根岸秋男社長は「挑戦意欲あふれた人財の育成・確保をめざす『人財力革命』」という表現を使っている。

そうして高めていくのが「稼ぐ力」ということになるだろう。経済同友会の長谷川閑史代表幹事の「経営者は経営のプロフェッショナルとして、企業の成長と発展に対し責任がある」とし、今年が継続的経済成長を実現する年だと位置づけている。後任の代表幹事の小林喜光三菱ケミカルホールディングス社長も「なによりも、スリムでリーンな企業体質をつくり上げ、収益力を底上げすることが喫緊の課題である」とした。

ユニークなところでは、楽天の三木谷浩史会長兼社長が、新経済連盟代表理事として発表した年頭所感で「失敗力カンファレンス」という新たな取り組みに触れている。そこでは「誰もが何度でも挑戦でき、そこから未来を切り拓く革新的な価値を生み出していく社会」の実現を提唱する。豊田通商の加留部淳社長が示した「目利き力」も目を引く。燃料電池車など先端技術が製品化される自動車業界を得意とする同社ならではの発想かもしれない。

いずれにしても、今後の日本経済の活性化は、アベノミクスの“第三の矢”、すなわち成長戦略が具体化しないと本物にはならない。そして、その切り札が民間の活力である。このなかから、いくつかの成功例が登場してくることが望ましい。そのためにも、ここで紹介した各社が目指す力が、全社的な総合力にまで昇華し、経済の牽引力になっていくことを期待したいものだ。