子供の才能を引き出すには、どうしたらいいのか。脳内科医の加藤俊徳さんは「子供の脳には8つのタイプがある。正しく把握できれば、子供の能力を開花させることができる」という――。(第1回)
※本稿は、加藤俊徳『子どもの脳は8タイプ 最新脳科学が教える才能の伸ばし方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
右脳が失われたら、左脳が大きくなる
私たちの脳は大まかに右脳と左脳に分かれているというのは、皆さんご存じのことと思います。では、ここで1つ極端な例を挙げましょう。仮に右脳が失われたら、何が起こるでしょうか?
右脳は左半身、左脳は右半身の運動を司っているので、右脳が失われたら、左半身がまったく動かなくなってしまうと想像するかもしれません。これは半分正解ですが、もう半分は不正解と言えます。
たしかに左半身はかなりの機能不全に陥ります。しかし、そうなるだけではなく、右半身の機能が格段に高まります。なぜなら、脳には全体の機能を賄うために、残っている脳の質量を最大化しようとする作用があるからです。
実際、右脳が失われたら、その分を埋め合わせるかのように左脳が大きくなります。誤解のないように付け加えますと、右脳が損傷を受けたとしても、右脳が担っていたすべての機能を失うことは容易ではありません。脳には、損傷を最小限に抑えようとする仕組みが備わっているからです。
結果として、右脳が司る左半身の出力が失われる代わりに、左脳が司る右半身の出力が上がります。右半身の出力が倍増して、全体としてプラスマイナスゼロになるとまでは言えないのですが、年齢や機能の種類によって異なるものの、大半の機能は回復する経過をたどります。特に、脳の重量が成人に達していない21歳以下、とりわけ5歳以下では、未損傷の脳領域が損傷を受けた脳領域を補うように成長していきます。