一方、社交型(赤)の上司は人間関係を重視しており、他者と共感し、共鳴することが好きである。口癖は、
「で、みんなはどう言ってるの?」
である。最悪の相性である青と赤が良好なコミュニケーションを取りたいと思ったら、相手のスタイルに合わせた話し方をする以外にない。年功序列制の残っている組織なら、上司(目上)のスタイルに部下(目下)が合わせるのが自然だろう。
たとえば青の上司に対しては意識的に、「結論から先に申し上げますと」といった、簡にして要を得た会話を心がける。別の言い方をすれば、「こいつはオレに似たタイプの人間だ」と思われることが、良好なコミュニケーションの秘訣なのだ。常にこれを念頭に置いておけば、思考と行動のスタイルがまったく異なる上司ともうまくやれる。極論すれば、この世から苦手な相手がいなくなってしまう。
では、私と妻はどうだったか。彼女と思考のスタイルがまったく異なることを悟った私は、彼女のスタイルに合った話し方と行動様式を徹底的に身につけたのである。レストランに誘うときは番地まで調べ上げ、地図をプリントアウトし、必ず予約を入れるようにした。
自分のスタイルと異なるスタイルに合わせるのは結構ストレスだが、特にビジネスの場合、阿吽の呼吸の相手をパートナーに選ぶとふたり揃って落とし穴の存在に気づかない場合が多い。逆に、対角線上にいる相手の場合は、穴を埋め合う最高のパートナーになれる可能性がある。現在の私たち夫婦のように……。