鉄道車両輸出の花形は1回当たりの受注額が数百億~数千億円に達する高速鉄道だ。この分野はシステム全体の輸出が見込めるので、運行面での技術の蓄積をもつ鉄道会社との協調が不可欠。日本車輌製造は親会社のJR東海と共同でアメリカでの受注を目指す。しかし、鉄道ビッグ3に後れを取っている状況は否めず、巻き返しを図るべくJR東日本主体で「日本連合」の結成を目指しているものの足並みはそろわない。そのうえ財政面による高速鉄道計画の見直しもあり今後の見通しは不透明だ。
いっぽう、アジアにおける通勤電車などの都市鉄道は有望で、現状でも国内市場の7倍の1兆6000億円に達し、年間2.5%を超える成長も見込める。東南アジアでの海外展開では国土交通省とJAICAによる協力体制も構築された。タイやベトナム、インドネシアなどには日本製の中古鉄道車両が輸出され、評判も上々だ。今後、これら各国では日本勢が有利となるに違いない。
鉄道車両製造業のすそ野は広く、全体の金額の約半分が鉄道車両メーカーに電気機器などの部品を納めるメーカーの売り上げになるという。内需から輸出への転換が成功するかどうかは日本経済の動向にも大きな影響を及ぼすといえる。