【田原】といっても、みんなは慎さんのことをよく知らないでしょう?
【慎】販売に関してはミュージックセキュリティーズという会社の「セキュリテ」というプラットフォームを利用しています。同社は音楽ファンドや日本酒ファンドで実績があるので、その信用力が大きかったと思います。あと、私自身、「投資のプロフェッショナルです」と自称できるよう一生懸命仕事し、他の仲間たちも事業の経験を積んできています。マイクロファイナンス機関がちゃんとビジネスをしているかどうかのチェックも、休暇を使って1週間、現地に行って調査し、レポートを公開しています。そういうところが信用につながったのかもしれません。
【田原】出資者から見れば信用組合のチェックは大事ですよね。でも、現地に調査しに行っても、そのときだけいい顔しているかもしれない。
【慎】彼らと直接1対1でやりとりするのではなく、そこの株主であるフィリピンの金融機関ともいい関係ができています。1対1だと日本から来た若造をだまそうとするかもしれませんが、そのほかにも信用ある組織と組んでいるので、悪いこともできないかと。
【田原】ファンドの金額はどれくらい?
【慎】出資者は2000~3000人でファンドは5つ。総額は1億2000万円ぐらいです。2009年に始まった第1弾が返ってきて、手数料や税金支払い後で、年率7%のリターンになりました。
1981年、東京都生まれ。朝鮮大学校政治経済学部卒業。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。2006年よりモルガン・スタンレー・キャピタルに勤務。07年10月よりNPO法人「Living in Peace」の代表理事。『未来が変わる働き方』『働きながら、社会を変える。』『ソーシャルファイナンス革命』など著書多数。
田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経てフリーに。活字と放送の両メディアで評論活動を続けている。『塀の上を走れ』『人を惹きつける新しいリーダーの条件』など著書多数。