ファンドの総額は1億2000万円

【田原】仕事を通して力をつけたあと、次は具体的にどのような活動をしたのですか。

【慎】マイクロファイナンスの支援です。日本ではみんな当たり前のように自分の銀行口座を持っていますが、世界のうち30億くらいの人は金融サービスを使ったことがない。その問題を解決するために、ファンドを通じて途上国に投資をする仕組みをつくっています。

【田原】途上国に直接、投資するの?

2009年、日本初のマイクロファイナンスファンド「Cambodeia ONE」を販売開始。

【慎】いえ、日本の個人から集めたお金を現地の信用組合、つまりマイクロファイナンス機関に投資して、その信用組合が農村部の人にお金を貸したり、預金サービスを提供する形です。日本から途上国の事業に投資するのは大変なので、現地の金融機関に投資します。

【田原】現地って、具体的にどこですか。

【慎】最初はカンボジアです。

【田原】カンボジアはポル・ポトがインテリをみんな殺してひどいことになった。飢餓に陥ったカンボジアを国連やさまざまな財団が寄付で支援しようとしましたが、お金をあげるだけではうまくいかなかった。慎さんはその国に投資をしようとしたわけだ。そうした国に出資する人たちがよくいましたね。

【慎】ファンドは1口3万円です。日本なら普通に生活しているうちになくなってしまう金額ですが、途上国ではそのお金で1人か2人が新しく事業を始めて生活を立てることができる。