自分が受けた恩恵を後輩たちにも

ITのインフラ企業、EMCジャパンに勤めながら複数のボランティア活動を行うのはラッセル斉藤氏。ロータリージャパンに在籍し、海外交流をベースとした様々なNPO活動に関わっている。ロータリーとの出合いは、交換奨学生としての日本留学体験である。

ラッセル斉藤●1981年、米国ハワイ州生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒。父は日系2世、母はイタリア系。高校時代に東京へ留学。大学ではアジアの企業経営について学ぶ。2006年に卒業、再来日し就職。

「私はハワイ島コナで生まれましたが、父親は日系2世です。日本に留学に行きたいという思いを小さな頃から持っていた私に手を差し伸べてくれたのが、コナ地区のロータリークラブに所属する方でした」

コナ地区のロータリークラブから日本へは、過去30年間奨学生を送っていなかった。しかし、斉藤氏の熱意をくみ取った、ある会員の尽力により、彼は1998年、青山学院高等部に1年間留学できることになる。

「留学によって、日本に触れ、多くを学び、世界観が広がりました。いまの人生があるのはそのおかげです。私の留学を叶えてくれたロータリークラブは、会員のボランティア活動によって機能している団体と知って、私は将来、ロータリークラブに入り、自分が受けた恩恵を返していきたいと思ったのです」ロータリークラブでの現在の中心活動となるのは、青少年交流委員会である。これは、海外と日本の交換留学生に関わる業務を担う委員会で、留学生の選抜、ホストファミリー探し、ケア、イベント企画および運営、関連業務などを行っている。委員会には11名が在籍、50代、60代の会員が主流の中で、20代の会員は彼ひとりだ。

「社会で活躍されている会員の先輩方と意見を交換しながら、グローバルな視点、国際文化、コミュニケーションなど実に多くを学んでいます。50代、60代の会員が多く、私は最年少ですが、留学生に最も近い年齢ということもあり、私の意見にも耳を傾けてくれ、国際交流に貢献しているという実感を持たせてくれます。私は留学によって人生が変えられるということを、この活動を通して伝えていきたいと思っています」