斉藤氏は実感をこめてこう語る。

ハワイ島コナは、風光明媚ではあるがまことに小さい町である。コナ生まれの彼は、そのまま地元で暮らしていても不思議はない。それが大都市・東京への留学をきっかけに、広い世界の存在を知り、国際的に活躍したいという夢を抱くようになったのだ。彼の中では、すべては「ロータリークラブのおかげ」。ロータリーの活動を通じて、かつての自分と同じような境遇にある若者に、世界への扉を開いてあげたいという気持ちが強いのだ。

現在はオフタイムのほとんどをロータリーでの活動に充てている。

「遊びに使える時間はほとんどありません(笑)。仕事では、ハードウエアの導入設定やアップグレードなど、エンジニアとして経験を積んでいます。高度な技術を学び、それをお客様へ提供するだけでなく、その技術をボランティア活動に活かせるということも、技術習得と向上に熱が入る理由となります。ボランティア活動で学んだマナーやコミュニケーション術が仕事先で活きる機会もあり、仕事とボランティア活動は相互によい影響を及ぼしています」

もっとも、ボランティアに力を入れるあまり、仕事に支障をきたすようなことがあってはならないと斉藤氏は言い添える。

「ボランティアの時間を確保するため、効率化を入念に考えるようになりました。そうすることで、社会に貢献しながら、仕事だけでは得られない貴重な出会いや経験を得る時間を生み出せるのです」

(文中敬称略)

※すべて雑誌掲載当時

(佐粧俊之=撮影)