何もかも会社に頼る考えは捨てるべき
そもそも、都会のサラリーマンは決して豊かとはいえない。好待遇の会社に勤めるエリートサラリーマンであっても、住居費をはじめとする生活費がかさむほか、所得を完全に捕捉されるのに経費扱いの幅が狭いといった税制上の不利もあり、思ったほど楽な暮らしを送ることはできないのだ。
サラリーマンは金銭的にはさして恵まれないうえ、後で触れるように、成果主義の浸透により10年後には「安定」という取り柄もなくなるだろう。だったら、思い切って独立・開業を考えてみるのも1つの選択肢である。
再スタートの時期は早いほうがいい。45歳を過ぎたら遅いかもしれず、できれば35歳を目処に決断すべきだ。といっても、私自身がボストンコンサルティンググループの社長を辞め、ドリームインキュベータを創業したのは55歳のとき。周囲からはさんざん反対されたが、押し切る形で独立した。もちろん後悔する気持ちはまったくない。だから、年齢なんかは目安にすぎないというべきだろう。
といっても、やみくもに会社を飛び出せというわけではない。得体の知れない閉塞感に覆われているのは日本くらいだ。中国やベトナムのようなアジアの新興国には、いまなお「坂の上の雲」を追い求める空気が充満している。
ならば、30代、40代という働き盛りのうちに海外勤務を志願することだ。とくにアジアが面白い。社内事情に通じ、内外に人脈を持つこの世代は海外と本社との結節点として大きな仕事ができるだろう。海外に拠点がなければ、あなたが進言してつくらせればいい。海外へ出るために会社を移りたいという人もいるだろうが、それは勧められない。なぜなら「社内事情に通じている」ことが海外駐在員の価値だからである。
激動期にいるわれわれは、3年先の収入や雇用を正確には予言できない。何もかも会社に頼ろうという考えは捨てるべきだ。すると、早いうちに不動産を購入して賃貸に回すといった副業を手がけることも考えていいだろう。