ビジネスにピンチはつきものです。サカタのタネも創業して間もない頃、そんなピンチがありました。創業者の坂田武雄氏は海外の業者からの依頼で、キャベツの新品種を育ててその種を取る仕事をすることになりました。前払いされた報酬を受け取ったあと、協力してくれる農家にキャベツの種を配りました。あとはキャベツの成長を待つだけ。その年は天候にも恵まれ、いい種がとれそうだという楽観的な気分が社内を支配していました。そうして迎えたキャベツの種の収穫時期。するとなんと種が一粒も実っていないことが判明します。絶体絶命のピンチを切り抜けた秘策とは?(2023年2月20日レター)

「1、2個を残して、あとは全部捨てること」

サカタのタネの創業者である坂田武雄は、あるとき取材で成功の秘訣を聞かれ、ちょっと考えてからこんなふうに答えたといいます。

(構成=長山清子)