1942年6月に行われた、ミッドウェー海戦は太平洋戦争の戦局が転換するきっかけとなった戦いだ。大敗北を喫した日本海軍に何が起きていたのか。『弱肉強食の現代史18バトル』(KADOKAWA)より紹介する――。(第1回)

真珠湾攻撃の後のミッドウェー海戦の意味

登場人物紹介
小太郎:ごくフツーの中学生
つきじい:偉大な歴史家トゥキディデスの生まれ変わり
ミッドウェー島(1941年撮影)
ミッドウェー島(1941年撮影)(画像=U.S. Navy/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

【小太郎】この島は、何ですか?

【つきじい】ミッドウェー島じゃ。ミッドは「中間」、ウェーは「道」。

【小太郎】「中間の道」?

【つきじい】「道の中間」という意味じゃ。

【小太郎】どの道の中間?

【つきじい】アメリカからアジアへ行く海上ルートの、ちょうど真ん中という意味じゃ。ハワイの北西2000km。日本まで行く途中の島じゃ。

【小太郎】どんな島ですか?

【つきじい】自然豊かな無人島で、アホウドリの群れが巣を作っているだけじゃった。ここにアメリカ人がやってきて工事を始めた。もう一度、写真を見てみよう。手前の島の三角形が何だかわかるかな?

【小太郎】……あっ、飛行場だ!

【つきじい】それが、アメリカ軍が作った軍用飛行場じゃ。

【小太郎】これって日本との戦争に使おうってこと?

【つきじい】その通り! 日本とアメリカとの戦争は、太平洋の島々の奪い合いじゃ。

【小太郎】「太平洋戦争」ですね。

【つきじい】アメリカ軍はそう呼んだ。日本軍は「大東亜戦争」と呼んだ。日本軍の真珠湾攻撃に始まり、アメリカ太平洋軍に大打撃を与えたが、ハワイ占領まではできなかった。ハワイは大きな島で人口も多い。だがミッドウェー島は……。

【小太郎】小さな島で人も少ない。だから占領しやすい!

【つきじい】しかも日本から見てハワイの手前にあるから、ミッドウェー島に基地を作っておけばハワイ占領も簡単になる、と日本軍は考えた。

【小太郎】でも、どうやって?

【つきじい】真珠湾攻撃のときと同様に、日本軍は空母(航空母艦)に爆撃機を積んで、ミッドウェー島を空から襲って占領しようと考えた。

【小太郎】なるほど。