「互いに尊敬できるライバルを持つことこそが、自己研鑽の最適の方法である」。捕手として三冠王を獲得し、現役引退後には名将として数々の人材を育成した野村克也さんの言葉ですが、彼がそのように考えるようになったきっかけは、「鉄腕」と称された、西鉄ライオンズの稲尾和久投手との熾烈な攻防を経験したことでした。生前の野村さんが語っていたエピソードを、ノンフィクションライター・長谷川晶一さんが紹介します。

投手のタイプを4種類に分類する

現役時代には豪打の名捕手として鳴らした野村克也は、対戦する投手のタイプを①超本格派、②本格派、③超技巧派、④技巧派の4種類に分類していた。

①の「超本格派」は、「100%ストレートがくる」と待ち受けている打者に対してストレートを投じても抑えることのできる投手だ。その代表例が、野村によれば金田正一、そして江夏豊だった。

(構成=岩川悟 図版=佐藤香奈 写真=川しまゆうこ、産経ビジュアル)