サービス業にとって朝礼は欠かせない。五反田駅前にあるキャバクラ「リシャール」でも、男子従業員は営業前に毎日、必ず朝礼をやり、キャストと呼ばれる女性たちは週に1回、営業終了後に終礼を行っている。

参加するのは男性従業員5人。電卓と、数字がぎっしり書かれたファイルを手に、てきぱきと進む。

参加するのは男性従業員5人。電卓と、数字がぎっしり書かれたファイルを手に、てきぱきと進む。

五反田にキャバクラは約30軒あるが、リシャールはなかでも人気ナンバーワンの店だ。オープンは2006年の10月。店内は27坪で、キャストは35人。毎晩7時からラストまで、30代、40代のサラリーマンでにぎわっている。

店長の犬塚英憲氏はキャバクラにおける朝礼の意義について、こう語る。

 「朝礼では前日のサービスについて反省をすることが多いです。例えば、営業中にスタッフやキャストがミスをしたとします。お客さんが怒らなくても、次の日に僕が代わって注意しなくちゃならない。お客さんの前でガミガミ怒るわけにはいきませんから。サービス業の人間はつねにお客さんの立場に立ってサービスしないとダメなんですよ」

朝礼は午後6時から20分程度。ソファに座り、はきはきとした声で挨拶をしてから行う。内容は次の4つだ。

・前日の反省
  ・当日の目標、数字を確認
  ・分担と役割の徹底
  ・今月のイベントについての情報伝達

 「前日の反省」の様子を見ていたら、客の通し方についての確認が多かった。

例えば、おっぱいの大きいFちゃんを指名する客がふたり来店したとする。そのふたりを向かい合わせの席に案内してしまったら、Fちゃんは席を移りにくくなる。男子従業員は客が入ってきたときから、「この客は誰を指名するか」を把握し、それから席に案内しないといけないのだ。

 「客の通し方は水商売のイロハ」(犬塚店長)ではあるけれど、混雑してくると、うまくいかない場合も出てくる。従業員間のコミュニケーションを密にすることも朝礼の目的なのだろう。

(尾関裕士=撮影)