楽天は創業10年の若い会社である。電子商店街ビジネスからスタートし、現在では金融サービス、旅行サービス、そしてプロ野球楽天球団の経営まで、実に幅広いビジネスに関わっている。その楽天が開いている朝礼・朝会・はユニークなことで知られている。
・朝会は毎週1回、必ず全社員が出席して行われる。支社に在籍している者はモニターを通じて参加する。
・開始直前になると会場のドアは閉じられ、遅刻者は入室できない。
・三木谷浩史会長兼社長は創業以来、朝会での講話を欠かしたことがない。
毎週月曜日の朝7時30分、品川シーサイド駅を降りると、改札口から楽天タワーまで長い行列が目に入る。行列は本社で働く2000人の楽天社員たちで、彼らは朝会に遅刻しないよう、早めに出勤しているのだ。
オフィスに着いた社員たちは4階にある会場へ急ぐ。会場はL字形で、広さは400坪。朝会のために造られた専用スペースである。8時前になると社員たちはパイプ椅子に座り、姿勢を正して経営幹部の入場を待つ。平均年齢は30.1歳。若さが発する熱気で室温が上昇するほどだ。
内容はIT業界に関係のあるニュースの紹介から始まって、三木谷氏の講話、業務についての連絡事項など、密度の濃い1時間である。マスコミに公開されているのは冒頭の挨拶と三木谷氏の講話だけで、それ以外は社員が数字を挙げて討議しあう。
朝会を始めた理由について、三木谷氏はこう語る。
「朝会は社員が5人しかいなかった頃から毎週やっていました。仕事がスタートする日の朝に、気持ちを新たにしてみんなで頑張ろうというのが朝会のひとつの役目です。もうひとつは情報の伝達。顔を合わせて生の情報を共有することが大切だと思っています」
(尾関裕士=撮影)