「新規事業の提案はほぼ100%反対される」と言います。そこを前提に考えたほうがいい、と。谷田流の乗り切り方を伝授してもらいました。(2020年11月30日レター)

反対意見が出るのは、新しい発想であることの証だ。そのアイデアの良し悪しはともかく、組織で活動する以上、自分の意見に異を唱えられることは多々ある。私の経験からすると、反対意見を出した全員を説得することはできない。私の場合は、やると言い出したら聞かない性分だから、反対されても「どう妥協するか」より「どう押し通すか」を一番に考える。そのため、賛成派に変わってもらうように説得するのではなく、懐柔することを優先する。たとえば、違う事業で周囲に「貸し」をつくっておいて、その見返りとして「イエスと言ってほしい」といった根回しも懐柔策の一つ。ここまでは、第2回でも触れた通りだ。

とはいえ、自分の意見を貫く場合、あるいは考え直す場合においても、反対意見を貴重なアドバイスとして受け止め、大切に扱うべきだと思っている。語弊があるかもしれないが、組織的に力を発揮できない人、つまり、ネガティブなことしか言わない人の意見は聞く必要はない。「あいつ、また言っているよ」ぐらいで、一蹴すればいい。参考にすべきは、しっかりと会社のこと、自分のことを考えてくれている人の意見だ。

(構成=内山賢一)