健康で長生きするには、どうしたらいいのか。管理栄養士の森由香子さんは「自己判断だけで糖質制限ダイエットをしてはいけない。筋肉量が低下して脂肪が増えることで、老後が寝たきりになるリスクを高めてしまうからだ」という――。(第1回)

※本稿は、森由香子『健康診断の数値がよい人は何を食べているのか』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。

ボウルに黒い箸
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“安易なダイエット”が寝たきりの老後につながる

肥満や生活習慣病の予防や改善に、ダイエットをしている方がいらっしゃると思います。人生100年時代、足腰をしっかりと保ち、自立した生活をこの先ずっと送る上でも、体重管理は大事なことです。

世の中には、様々なダイエット法があります。ですが、特に中高年の皆さんは、ご自身にとって不適切なダイエットを行うと、将来の健康を阻む取り返しのつかない事態を招くことがあるのでご注意ください。

皆さんの中に、朝食を食べず一日一食、あるいは二食にして食事回数を減らし、食事はおかずだけ食べて、主食のごはんを抜いている方がいないでしょうか。もし、そうであれば、将来、「サルコペニア」あるいは、「サルコペニア肥満」になるリスクが高くなるかもしれません。

サルコペニアとは、筋肉量の減少と筋力または身体機能(歩行速度)の低下を指す筋疾患を言います。さらに、肥満があるとサルコペニア肥満となり、寝たきりになるリスクが上がるとされています。

ここで、「えっ! たんぱく質をとっているから、筋肉量が減らないのでは?」と反論が聞こえてきそうです。確かに、たんぱく質は筋肉などの体の組織やホルモン、酵素、血液の材料になりますが、一方でエネルギー源にもなります。どういう時にエネルギー源になるかというと、糖質不足の時に起こりやすいのです。

糖質が不足すると筋肉が分解されてしまう

人の体は、エネルギーファーストでできています。そのため、食事からとった栄養は、まず体を動かすエネルギーとして利用されます。

ご存じのとおり、体のエネルギー源はブドウ糖で、糖質が分解されたものです。糖質が不足していると、食事からとったたんぱく質は、体の組織などに利用されるのではなく、エネルギーとして使われてしまいます。ところが、それでもなお、体のエネルギーが不足している場合は、筋肉などの組織が分解されてエネルギーがつくられてしまいます。

わかりやすい事例があります。就寝中は食事からの栄養補給ができませんので、必要なエネルギーは、筋肉を分解して補っています。そんな状態のところに、朝食の欠食や糖質不足の食事をしていると、ますます筋肉の分解に拍車がかかります。

筋肉量が減れば、基礎代謝が低下し、痩せにくい体となりかねず、かえって肥満が増長しかねません。将来、サルコペニア肥満になる可能性も高くなります。ですので、食事は一日三食、主食、主菜、副菜の構成とし、できれば、運動も取り入れて、筋肉量を低下させない体重管理をしていくことをおすすめします。