21世紀後半には多くの国で人口減少局面に入るが、唯一増えると予測されるのがアフリカだ。なぜアフリカで人口が増えるのか。激変する世界で日本にとってのチャンスはどこにあるのか。

国連予測より早く来る世界人口の大激変

国連が2024年7月に発表した最新の人口推計では、現在約82億人の世界人口は80年代半ばに104億人でピークを迎え、その後は減少に向かうと予測されています。他の地域が人口減少や横ばいの見込みの中で、人口増加が続く唯一の地域がアフリカです。24年時点で約15億人の人口が、2100年には約39億人に増え、世界人口の38%を占めるようになると推計されています。

しかし、国連の過去の世界人口推計をさかのぼって調べてみると実はほとんど当たっておらず、改定を繰り返してきました。予測が外れる理由は2つあります。一つは先進国の人口減少を甘く見ていること。減少率は国連の予測よりも現実のほうがずっと高くなっています。そしてもう一つがアフリカの人口予測です。国連はこの20年ほど、アフリカの人口増加率は下がると言い続けてきましたが、実際にはほとんど変わっていません。

こうした経緯を踏まえると、先進国の人口は予測以上に減少し、逆にアフリカの人口は予測以上に増加すると考えるのが自然です。つまり、世界人口に占めるアフリカ人の比率は、国連の予測よりも高くなるはずです。

では、どのくらいのスピードで変化が起こるのか。私の見通しでは、世界人口の4分の1をアフリカが占める時期は今世紀半ば、50年より少し前だと思われます。これは国連の予測とそれほど変わりませんが、今世紀末には世界人口の半分をアフリカ人が占めるようになるかもしれない。

国連の人口推計には6種類のシナリオがありますが、巷間で引用されるのはそのうちの「中位予測」です。6種類の中には出生率に関して「変化なし」のシナリオもあります。これまで、出生率が下がっている先進国や、出生率低下の確証がないアフリカでは、この「変化なし」のシナリオが最も現実に近かった。そこで、先進国とアフリカについては出生率「変化なし」のシナリオを採用し、他の国には「中位」のシナリオをそのまま採用して世界人口を予測し直してみると、80年代に世界人口の半分がアフリカ人になるという結果が出るのです。おそらく真実は、この複合予測と国連の中位予測の間にあると思われます。

アフリカ人が世界人口に占める割合

ナイジェリアでは3割が一夫多妻制

なぜアフリカの人口だけが増え続けるのでしょうか。その理由は家族形態と農業のあり方にあると考えています。

アフリカの家族形態は他の地域と異なり、一夫多妻制が多く見られます。大衆的に一夫多妻制が成立している地域は、世界中でアフリカしかありません。

コーランは一夫多妻制を認めていますが、中東イスラム地域でも一夫多妻制の割合は5%以下で、多いのはサウジアラビアやクウェートなど大富豪がいる国に限られます。コーランには一夫多妻制に付随する義務がたくさん書かれており、それを実行することは庶民には難しい。そのため、大衆的に一夫多妻制が成立することはありえません。

ところがアフリカの場合、多い国では約半数が一夫多妻制です。アフリカで最も人口の多いナイジェリアでは3割を占めます。また、一夫多妻制がなくなっている地域では母子家庭が非常に多い。これは、一夫多妻制が崩壊した後の形態だと考えられます。一夫多妻制は基本的に複数世帯の集合体で、女性が世帯主です。そのため一夫多妻制が壊れると母子家庭ができるのです。

このような家族制度の精神的影響は、制度が崩壊しても根強く残るものです。核家族が主体となった日本社会に家父長制の影響が残っているのと同じです。

(構成=増田忠英)