米連邦政府のシステムはもはや現実に合わない

米国を代表する国際情勢ストラテジストといえば、この人、ジョージ・フリードマン氏だ。

同氏は1996年、のちに「影のCIA(米中央情報局)」と呼ばれるようになった米インテリジェンス企業「ストラトフォー」を創業(2020年、同業他社が買収)。現在は、米テキサス州に本拠を置くバーチャル・シンクタンク「ジオポリティカル・フューチャーズ」の創業者・会長として、世界情勢の分析に辣腕らつわんを振るう。

夜の米国議会議事堂
写真=iStock.com/Itza Villavicencio Urbieta
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そして、特筆すべきは、フリードマン氏の先見の明だ。同氏は、原著が5年前に刊行された『2020-2030 アメリカ大分断:危機の地政学』(濱野大道・訳、早川書房)のなかで、米連邦政府改革が25年頃から始まる可能性を予見していた。

トランプ大統領が挑む未曽有みぞうの連邦政府改革を5年余り前に予測したフリードマン氏に話を聞いた。(聞き手:ニューヨーク在住ジャーナリスト 肥田美佐子)

【図表】連邦政府改革に関するおもな大統領令

――著書『2020-2030 アメリカ大分断』のなかで、あなたは現在の米連邦政府改革を予測しました。

25年頃から新たに始まる制度的サイクルで「連邦政府と国との関係が再定義される」と書いた。予測が当たったのは実にラッキーだった。

だが、米国史をひも解けば、「制度的サイクル」が約80年ごとに、「社会経済的サイクル」が約50年ごとに訪れることは歴然としている。

25年頃に第4の制度的サイクルへの移行期が始まり、28~30年頃に第6の社会経済的サイクルが幕を開けることも見通せた。ほぼ同時期に両サイクルが移り変わるのは、米国史上初めてのことだ。この国は今、深刻な危機に瀕している。

社会経済的サイクルを振り返ると、現在の第5サイクルが始まったのは、共和党のロナルド・レーガンが大統領に選ばれた1980年だ。第4サイクルは、世界恐慌さなかの32年に始まった。民主党のフランクリン・ルーズベルトが大統領選挙で勝った年だ。

一方、制度的サイクルは、1787年の合衆国憲法制定で始まった第1サイクルを経て、1865年の南北戦争終結で第2サイクルに移行。第二次世界大戦が終わった1945年に第3サイクルが始まり、トランプ大統領の下で第4サイクルに移行しつつある。