閉ざされた環境が導く通過儀礼
アン王女の場合には、滞在先の宮殿を抜け出したことが通過儀礼に結びついた。愛子内親王の場合には、むしろ、オンラインでしか授業を受けられないという閉ざされた環境におかれたことが通過儀礼に結びついた可能性がある。
少なくとも、同じようにコロナ禍を経験した同世代に対する共感の思いにはかなり強いものがあるのではないだろうか。その経験は、現在活発になってきた公務にも生かされているはずである。
アン王女のモデルとされるマーガレット王女の場合には、その生涯は波乱に満ちたものになった。『ローマの休日』が公開される頃には、離婚歴のある16歳年上の空軍大佐と付き合っており、この関係については、王室のメンバーから猛反対を受けた。
結局、大佐とは別れ、王族としてのつとめをまっとうしようと決心したところまでは、まるでアン王女のようだった。ところが、浮き名を流した後、30歳でカメラマンと結婚している。2人の子宝にも恵まれるが、夫婦仲は悪くなり、王女自身が不倫する。結局、二人は離婚している。
マーガレット王女の場合、姉がイギリスの女王に即位しているわけで、自分がそうした境遇におかれることはない。その点で、どう生きればいいのか、立場は難しいものであったのかもしれない。
愛子内親王がたどる最難関とは
戦後の日本では、「開かれた皇室」ということがキャッチフレーズとして打ち出され、その点でイギリスの王室がモデルとされた。しかし、スキャンダルが頻発してきたイギリスの王室と、それとは無縁の日本の皇室では、まるで状況が違う。騒ぎになった眞子元内親王の場合でさえ、同じ大学出身の民間人の男性と結婚したというだけのことである。
『ローマの休日』は、一日だけの冒険を終え、王族としての決意を固めたかに見えるアン王女が記者会見する場面で終わる。観客は、その後のアン王女がどのようになっていくかに関心を持つが、続編は作られなかった。
おそらく、続編は大失敗に終わっていただろうが、アン王女が実在していたなら、当然、その後も人生は続いていたはずである。それは、今後、愛子内親王がたどっていくであろう道でもある。
一番の問題は結婚ということになるが、果たして愛子内親王にふさわしい相手は現れるだろうか。それについては、誰もが心配するところである。
皇族女性の結婚という難題
しかも、今期の国会ではまとまらなかったが、結婚後の皇族女性が女性宮家を創設することで、皇族数が減ることを防止しようとする法改正がめざされている。その際に、結婚した夫や生まれた子どもを皇族にするかどうかで議論が対立したわけだが、どちらになっても、皇族女性の結婚のハードルが今よりもさらに上がることは間違いない。
夫も皇族になるとすれば、生活のあり方は根本から変わる。皇族としての責任は重く、数々の公務をこなさなければならない。そもそも、結婚を契機にそれまでのキャリアを捨てなければならない。
皇族にならないとなると、一つの家庭のなかに皇族と一般の国民とが同居することになる。そうした例は今までないので、想像が難しいが、様々な問題が派生する可能性がある。
皇族は姓を持たないわけで、その点では、これも国会で先送りされた夫婦別姓が実現された形にはなるが、それは姓を持たない者と持つ者との結婚になる。子どもは父親の姓を名乗るしかないが、奇妙な状況である。第一どこに住むのか、それも問題になってくる。
女性宮家の創設の話がまとまらないのも、そうした難しい問題が様々に生まれてくるからである。


