チップスの中に、中小企業社長の顔がずらり
カード入りポテトチップスと聞けば、多くの人が思い浮かべるのは、メジャーなプロ野球やJリーグなどスポーツ選手の他に、最近では漫画のキャラクターや、2.5次元アイドルだろう。
だが今、そのカードに「全国の中小企業の社長たち」が登場しているのをご存じだろうか。全国500人以上の社長たちをカード化した「社長チップス!」。「カッコよく、キメる!」をコンセプトに、多彩な事業を展開しているesspride(エスプライド、東京都渋谷区)が手がけるプロジェクトだ。
中小企業の経営者や会社の魅力を、挑戦やストーリーとともに「お菓子」を通じて世の中に届ける。ポテトチップスという大衆的なスナック菓子をメディアに変えたこの試みは、2016年のリリース以来、多くの注目を集めてきた。
では、SNSなどを利用した情報交流が一般的となった時代に、なぜ、あえてアナログなカードなのか。代表取締役CEOの西川世一さんは、こう語る。
「ネットやSNSで情報は取れる時代ですが、手に取って、感じるものには温かみがあり、記憶に残ります。アナログでしか生まれない“遊び心を大切にしたコミュニケーション”は、これからの時代こそ大切にしなければならないと思っています」
プロ野球選手を夢見た少年時代と挫折
西川さんは愛知県出身。幼少期から野球に打ち込み、プロ野球選手を目指して高校野球の名門・中京大中京に進学した。有望選手として期待されたが、腰椎分離症に悩まされ、チームとしても本来の実力を発揮することができず、3年夏の愛知大会準決勝で最後の打者となり敗退。甲子園出場、そして全国制覇の夢は叶わなかった。
「高校時代の恩師・大藤敏行先生(現亨栄監督)は非常に厳しかったですが、簡単には諦めさせない姿勢から多くを学びました。ビジネスでも苦境を乗り越える原動力になっています」
大学進学後も野球を続けたが、早朝練習に向かう途中、バイク事故に遭遇。野球人生に終止符を打った。「父と同じ経営者の道に進む」と決意し、わずか3カ月で大学を退学。東京で経理やデザインを学びながら、音楽イベントのプロデュースにも挑戦。自身が手がけたイベントは雑誌に取り上げられるほどの注目を集めた。