では、P-EDPでは具体的にどんなことを教えるのでしょうか。
まず、経営理念。グローバル化というのはある意味、多様な価値観を受け入れるということですが、それだけだと組織がばらばらになってしまいます。多様性を認めながらそれを束ねていくためには、各リーダーが経営理念を共有し、それに基づいて行動しなければなりません。当社においては創業者である松下幸之助の自然観、人間観、経営観や、綱領、信条などまとまったものがすでにあるので、それらを講義や幹部との対話を通して伝えつつ、パナソニックの経営理念や存在意義をしっかりと理解してもらいます。パナソニック経営のDNAを注入すると言い換えてもいいでしょう。
次に、経営のフレームワーク。各事業部の業務内容やルールと、グローバルなオペレーションについての基本的な考え方を身につけ、会社の視点で経営がみられるようにします。
それから、戦略的思考。これは社内、社外のさまざまな事例のケーススタディーです。
また、当社では「縦のストレッチ」といい、研修期間中あるいは研修終了後に人事異動することを義務付けています。たとえば技術部長として研修に参加した人が、研修後に事業部長に登用されるという具合です。
研修だけでは人は育ちません。研修で学んだことは現場で修羅場をくぐって、はじめて血肉化するのです。とくにリーダーシップや人間力、多様性への対応力などに関しては、実践で鍛えることが不可欠です。