過去40年間でおよそ1600人、204億円もの被害額が生じた

旧統一教会に関するトラブルは、2000年以降も止むことはなかった。多数の民事訴訟が提起され、多くで教団の責任が認定されていく。2022年には安倍晋三元首相の暗殺事件が起き、それを契機にして教団と政治家との関係や、異常な活動実態、宗教2世問題などが次々と浮上。文部科学省が東京地裁に解散命令請求したのが2023年10月のことであった。

文鮮明(左)と妻の韓鶴子(右)
文鮮明(左)と妻の韓鶴子(右)[写真=Steve Dufour/『新世界百科事典』(UPF)/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

東京地裁は、過去40年間でおよそ1600人、204億円もの被害額が生じたと認定した。その上で、「(旧統一教会に)法人格を与えたままにするのは極めて不適切。解散命令はやむを得ない」とした。被害規模はあまりにも甚大であり、同教団は反社会的な集団と言っても過言ではない。

宗教法人法における宗教教団の活動の目的は「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること」である。同教団の場合は、宗教活動はあくまでも「手段」であり、集金こそが「目的」であったと言われても仕方がない。東京地裁の判断は、妥当だと思う。

旧統一教会は東京高裁に即時抗告する方針を示した。最終的には最高裁の判断となる見通しだが、宗教法人の認証が取り消されると、固定資産税や法人税などの優遇措置が受けられなくなる。ただ、任意団体として宗教活動を続けることは可能だ。

旧統一教会の田中富広会長は会見で「解散後、法人の全ての財産は没収される。10万人の信者が集う教会も施設も失う。信者らの宗教活動の自由は、事実上、重大な制限を受けることになる。国家による明らかな信教の自由への侵害で、この決定は宗教全体の危機の始まりだ」などと訴えた。

本当にそうだろうか。統一教会側は、すでに「抜け道」を用意している可能性がある。