ソ連に亡命した岡田嘉子と演出家の恋

四方を海に囲まれた現在の日本に、地続きの国境はない。しかし植民地をもっていた戦前の日本は、そうではなかった。日露戦争後に植民地となった南樺太は、北緯五〇度線を境に、ソ連領の北樺太と接していた。

この国境を走って越え、ソ連に亡命した俳優とその恋人の演出家がいた。岡田嘉子と杉本良吉だ。

岡田の自叙伝『ルパシカを着て生まれてきた私』と当時の時刻表をもとに、二人がどういうルートをたどったのかを探ってみる。