現代の墓の主流「永代供養」とはそもそも何か、専門家も説明できない

近年、「永代供養」を巡ってトラブルが報告されている。「永代」「合祀」「合葬」などという専門用語がわかりにくい上、内容をよく理解せずに契約した結果、取り返しのつかない事態を招くこともある。

昨今、「永代供養」が墓の主流になりつつある。だが、永代供養とは何か、と説明を求められれば、明快に答えられる人はあまりいない。長年、墓の調査・研究を続けている者ですら簡潔な説明に窮するのだから、多くの消費者はよく分からないまま、永代供養墓を買い求めてしまっている恐れがある。

まず、「永代供養」には、大きく異なる2つの種類があることを知ってほしい。

江戸時代から続く「本来の永代供養」

江戸時代の寺請制度時代から続いてきた「本来の永代供養=永代祠堂えいたいしどう」と、永代祠堂から派生した「現代の永代供養」である。

前者の永代祠堂の利用者は、菩提寺の檀家であることが前提だ。墓や仏壇の継承者がいなくなった(いなくなりそうな)場合に、遺骨を合祀墓に移し、位牌を菩提寺の位牌堂に祀って、住職が「永代にわたって」供養する。毎日、回向する位牌を「日牌にっぱい」、月命日に回向する位牌を「月牌がっぱい」などという。戒名は永代祠堂台帳に記載され、菩提寺で永続的に受け継がれる。

「永代祠堂」の供養帳と位牌
撮影=鵜飼秀徳
「永代祠堂」の供養帳と位牌

赤の他人同士が合祀され、一冊の永代祠堂台帳に記載されて、回向されるのだから、供養の期限は「ほぼ永久」と捉えてよいだろう。永代祠堂のポイントは「菩提寺が」責任をもって供養してくれるところにある。永代祠堂は、現在も多くの寺で受け継がれてきている。

「本来の永代供養」から派生した「現代の永代供養」

一方で「現代の永代供養」は、ちょっとニュアンスが違う。先述のように「本来の永代供養(祠堂)」は、一族で祀り続けることのできなくなった故人を、菩提寺が代わって供養し続けるものだ。だが、「現代の永代供養」の特徴はそんなにシンプルではない。

主に次の4つの特徴がある。

① 檀家でなくとも誰でも買える(一見でも受け入れてくれる)
② 宗旨宗教を問わない
③ 多くが期限付きの供養
④ 納骨期限を迎えれば合祀墓等に改葬される。

檀家に限定される永代祠堂とは異なり、現代の永代供養はかなり門戸が広い。檀家の枠組みから離れ、宗旨を問わないので、「縛り」はゆるい反面、能動的に供養する責任はむしろ「遺族側」にあるといえる。