今後マンション市場に起きることとは

これからは、マンションの老朽化が、都市部などで大きな問題を引き起こしそうです。

図表3は、内閣府HPに掲載されている、国土交通省が発表した資料ですが、現在、日本国内にあるマンション(※)の総数は約700万戸、このうち築40年を超えるものが約137万戸もあります。しかも、10年経つと築40年以上が約274万戸となり、20年後には約464万戸となります(2023年末時点)。

※国土交通省が定義するマンション=中高層(3階建て以上)で、分譲・共同建ての鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート、鉄骨造の建物

【図表3】分譲マンションストック数
出典=内閣府HPより

マンションは築40年で建て替え時期に入ると言われています。つまりあと10年経つと、今あるマンションの3分の1は建て替え時期に入るということ。そうなれば、東京の山手線内の特殊な場所に建てられたもの以外は、老朽化の危機を迎えることになります。

これに対して国でも、法律の規制を緩めるなどして対処していますが、マンションの建て替え事例はきわめて少なく、2023年時点でも約2万3000戸。しかもその多くは、敷地にゆとりがある公団住宅などの恵まれた物件で、都心の民間マンションなどは、ほとんど建て替えできない状況です。

なぜなら、民間マンションは敷地ぎりぎりに建てられているものが多く、公団のように敷地に余裕があるので高層化して戸数を増やして売却し、建設費に充てるということができません。そうしたマンションを建て替えるというと、取り壊し費用も含めて膨大で、新築マンションを買うのに近い費用がかかります。

ところが築40年以上のマンションに住んでいる人の世帯主年齢を見ると、半分以上が70代。とても、これから新たに住宅ローンを組んで建て直すなどということはできません。

ですから、これからは建て直しもできずに老朽化したまま放置されるマンションが増えていくことになるでしょう。そうなった時に、「夢のマンション暮らし」というイメージが大きくくずれていく可能性は十分にあり、そうなれば資産価値の上昇というのも見込めなくなるかもしれません。

もし買うなら、そうした最悪なことも考え、後悔しないように買いましょう。マンションに資産としての過剰な期待はしないほうがいいということです。

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