わかりやすく、口当たりよく、ゴロがいい
日本では、小泉純一郎元首相が短く表現上手とされてきた。政策のよし悪しはともかくとして、歯切れがよく明快な言葉には学ぶところがある。「友愛」では曖昧模糊として何を指すのか定かではないが、変革の意志を示す「自民党をぶっ壊す」のスローガンをはじめとする言葉は短く、わかりやすい。
ここにあるのは「何を、どうする」「何が、変わる」といった、具体的な内容の提示であり、キレのいいフレーズだ。聞き手の記憶に残したいフレーズ、機能などは簡単で覚えやすい言葉で、ゴロ感よく複数回繰りかえす。そして、聞き手も口にしたくなるような“口当たり”とでもいうような言葉は、結果として耳に残っているというわけだ。
「誰にでもわかりやすく、ポイントを明確に、繰り返し、キレよく伝える」。つまりは、「界面活性剤で、汚れは劇的に落ちる」であり、「自民党をぶっ壊す」――何がどうなるか、である。こうしたわかりやすく聞きやすい表現を使うことで、小気味よく、結果として記憶に残る伝え方となっていくのだ。
[参考資料]
*『プロパガンダー広告・政治宣伝のからくりを見抜く』(A.プラトカニス/E.アロンソン貯 社旗行動研究会訳 誠信書房)