たとえば、植物は太陽の光と二酸化炭素を使った「光合成」で炭水化物を作り、酸素を放出している。これを人為的に行う「人工光合成」に期待が寄せられている。
「確かにまだゴールは遠い。原理的にできないのであれば、いくら努力を重ねても無駄だ。しかし、空に太陽が輝き続け、野原にれんげ草が光合成をしながら咲いている。それだったらあきらめずに追究するのが、科学者のロマンではないのか」と亀井氏はいう。
そして、これから最も注目されていく技術は環境対策の技術で、とりわけ再生可能エネルギーの本格的な実用化への取り組みが進められていくだろう。ただ、太陽光や風力、地熱についてはコストや設置場所の制約がネックになり、思うように進んでいないのが実情だ。ニッセイの矢嶋氏は「フロンティアを宇宙に拡大していけばどうか」と指摘する。
日本の産業に目を転じると、高齢化が一段と進み、医療・福祉・健康産業が拡大していくものと見られる。病院や福祉サービス施設への家計支出は増大し、健康を維持・管理するシステムも向上するだろう。矢嶋氏は、そこではファイナンスも有望なビジネスになると見ている。
「高齢者が保有している資産のうち、換金できずに困るのが土地と家だ。とりわけ、田舎の空き家に対する手の打ちようがなくて困っている人がたくさんいる。こうした実物資産を金融資産に転換するサービスの潜在ニーズは大きい。また、このサービスが大きなビジネスになれば、資金が循環して経済の活性化につながるだろう」
同時に近未来社会は、あらゆる面においてボーダーレス化が加速していく。当然、国境という概念は影が薄くなり、人々は当たり前のように海外に飛び出して学び、働くことになる。