社員は基本給に最も関心を持っている
今回の調査によれば、社員に給与情報を伝える際に最も問題なのが基本給である。報酬形態がますます複雑化している中で、ボーナスや短期の褒賞制度、ストック・オプション・プログラムなどに時間と資金を投資している多くの企業にとっては残念な結果かもしれない。だが、今回の調査では、可変的な臨時報酬よりも、基本給について満足度が高い場合に、仕事に対する熱意が高まることが明らかになった。給与について十分な情報を伝えている企業は、基本給に最も配慮している。
なぜ企業は、やっきになって給与に関する情報をガードするのか。なぜ社員は給与について突っ込んだ質問をしないのか。人事・褒賞制度の専門家たちは、職場に蔓延しがちな給与の不透明感は、給与を話題にすることをタブーとしてきた長年の文化的規範によるものと見ている。その他の理由としては、社員の給与は経営トップの特権事項とする旧態依然とした意識、社員が給与体系を知れば、ますます不平の種を見つけるのではないかとの不安、そして、給与を決定する自由を確保しておきたいという経営陣の願望などが挙げられる。
意外かもしれないが、給与についての意識調査によれば、社員が給与について質問するのは、比較的まれなことである。給与査定の一貫性についてしばしば質問される管理職はわずか15%だった。対照的に、パフォーマンスについてしばしば質問される管理職は40%あった。
だが、調査担当者たちは、給与に関する質問がほとんどない理由が、関心の欠如によるとはまったく考えていない。むしろ、このような質問をしても正直な返答を得られないばかりか、悪くすれば、懲罰の対象になりかねないと考えていることが原因と見ている。場合によっては、給与体系があまりに複雑なため、何を質問すればよいのかさえわかっていない社員もいる。